始まり



初めて黒トリュフを味わった時、

不思議とどこか海苔の香りを感じました。

暫くして思い出し調べてみると、その主要な香り成分に、共通して「ジメチルスルフィド」を持つ事を知りました。

それが「トリュフ海苔」の始まりです。

美味しい海苔が育つ条件

 

“良い漁場は、山がつくる”

大きな山や、畑からの栄養が川を通じて海に注ぎます。
それが栄養塩(窒素、リン、ケイ素)です。
その供給源である山が大きいほど、
畑が多く川が大きいほど栄養が多く、
栄養塩として海に流れ込むのです。
伊勢湾三河湾はその恵まれた地形により非常に良い漁場を形成しています。
多くの山々から、木曽三川や矢作川など多くの河川から栄養塩が供給されます。その河口付近はいわゆる特級地区と捉えられ、今回主に使用する西三河地区の海苔は、日本全国の生産エリアの中でもトップクラスに君臨します。
中でも青混ぜ海苔は有名で、非常に華やかな香りを引き出します。
「トリュフ海苔」にも同様に青海苔を混ぜて使用しています。

黒トリュフと海苔



トリュフには多くの品種があり、それらは世界中に存在します。
日本で”松露”と呼ばれるものがそれです。
その中でいわゆる「黒トリュフ」として流通するものは、仏産、伊産、豪州産、ヒマラヤ産。
「トリュフ海苔」その中でももっとも香りが高く、質の良いものを産出するとして名高い仏、ペリゴール地方産の冬トリュフを100%使用します。
その恵まれたテロワールにより育まれたトリュフは香高く、時に土や下草、乾燥木の子等 黒系の香りが強く、ナッティーで複雑な味わいながら、雑味や土臭さのない最高の黒トリュフです。
出過ぎず、よく馴染み、海苔の風味と融合する最高のパートナーといえます。口当たりの良い様ペーストにし、ソースにふんだんに使用します。

蛤と浅利


蛤と浅利、黒トリュフと海苔の味わいをさらに引き上げ、まとめるものとして、

桑名産の蛤と西三河産浅利の出汁を使用します。
海苔の旨味成分であるイノシン酸と黒トリュフの旨味成分であるグルタミン酸による旨味の相乗効果と蛤浅利の旨味であるコハク酸のコクを加える事により、
高貴で香り高い芳香なソース「トリュフ海苔」へと昇華しました。恍惚感、どことない懐かしさが駆け巡ります。